ユング心理学の視点から見た日記。スーパー戦隊シリーズ キョウリュウジャー、トッキュウジャー、東のエデンのレビューと感想。エニアグラム、子どもが育つ魔法の言葉、話が通じない人の心理、自分に気づく心理学。ドラマやアニメから学ぶ人生観。
 
NHKスペシャル 病の起源 第3集「うつ病 ~防衛本能がもたらす宿命~」より。


世界で3億5千万人以上が苦しんでいるという、うつ病。

日本での患者数は、百万人に達しているのだという。

そんな中、メカニズムが だんだんと分かってきました。

キーワードは、天敵、孤独、記憶、言葉、そして、平等。



NHKスペシャル うつ病



<扁桃体>


うつ病の人では、脳の一部が委縮するのだそう。

脳の委縮を引き起こす原因は、「扁桃体(へんとうたい)」

扁桃体が活動すると、恐怖や不安、悲しみなどの感情が生まれます。

うつ病の患者では、健康な人よりも、扁桃体の活動が強くなっているのが確認される。



<天敵>


扁桃体は、敵が近づくと危険を察知し、活動します。

すると、ストレスホルモンが分泌され、全身の筋肉が活性化する。

魚はこの仕組みで運動能力を高め、すばやく天敵から逃げることができます。

そして、危険が去れば、ストレスホルモンの分泌も収まる。


この天敵から身を守る仕組みが うつ病に深く関わっていることが、分かってきました。

自然界であり得ないような状況で長期間飼育すると、魚はあまり動かなくなる。

ゼブラフィッシュの水槽に天敵の魚を入れておくと、初めは逃げ回りますが、ある時期を境に、うつ状態になります。

ストレスホルモンの分泌が止まらなくなり、うつ病になってしまうのです。


人間でも、ストレスホルモンの量が高い状態が長く続くと、脳に異変が起きます。

脳の神経細胞がダメージを受けてしまう。



<うつ病発祥のメカニズム>


強い不安や恐怖などが続くと、扁桃体が過剰に働く。

 ↓

全身に、ストレスホルモンが大量に分泌される。

 ↓

この過剰なストレスホルモンが脳に及ぶと、神経細胞に必要な栄養が減少。

 ↓

この状態が続くと、神経細胞が栄養不足で縮んでしまう。

 ↓

脳が委縮。

 ↓

意欲や行動の低下を招く。




天敵から身を守るために生まれた、扁桃体を要とするメカニズム。

その暴走が、うつ病を引き起こしているのです。



魚から始った、このメカニズム。

哺乳類の時代に、扁桃体は天敵以外にも反応するようになりました。


ネグラという名前のメスのチンパンジー。

どうも、うつ病らしい。

では、どうして、うつ病になったのか?


チンパンジーは、高度な集団社会を作って暮らしています。

集団でいることで、子育てなどを共同で行うことができ、安心して暮らすことができる。

天敵も見つけやすく、対処することができます。


しかし、ネグラは感染症の疑いがあったため、1年半もの間、隔離されていた過去がある。

孤独になったチンパンジーは、ストレスホルモンの値が高くなるのだという。

高度な集団社会を作ったために、孤独になると不安や恐怖が生まれ、扁桃体が激しく活動するのです。




<記憶>


370万年前のアフリカ、人類の祖先は、猛獣に襲われるか弱い存在でした。

そんな過酷な状況で生き延びるために重要だったのが、恐怖の体験などの記憶。


アフリカはタンザニアに住む、ハッザの人々。

現在も、狩猟採集の生活をしています。

彼らも、恐怖の記憶を頼りに、サバンナを生きぬいているのだという。

どこで、危険な目に遭ったのか?

どんな、危ないことがあったのか?

それを教訓とし、また、集団で共有します。


恐怖の記憶は、うつ病の原因となる扁桃体と、深く関係している。

扁桃体は、記憶を司る海馬と、強い結びつきを持っています。

扁桃体が活動しない出来事の多くは、海馬で消え、忘れられてしまう。

逆に、扁桃体が激しく活動する出来事の場合、海馬が反応し、強い記憶として蓄えられる。

日常の――例えば、1週間前に何を食べたとか、そういう――出来事は忘れてしまいますが、衝撃的な出来事は、記憶に残ります。


さらに、恐怖などの記憶は、繰り返し思い出すことで、扁桃体を激しく活動させます。

これでストレスホルモンが分泌され、うつ病になってしまう。

皮肉なことですが、過酷な状況で生き延びるためのメカニズムが、比較的安心して暮らせる現代の人類を苦しませる結果になっているのです。

生死という意味では、昔に比べ、現在は安心・安全と言える。

しかし、同時に、昔は考えもしなかったようなストレスが、我々の周りにはあります。

これはいわば、同じメカニズムを持ったまま、状況だけが変わった状態。

ゆえに、ギャップが生まれています。

昔有効だった処方が、今の状況では、害になってしまっている。

この辺は、興味深いですね。

生き方という意味でも。



<言葉>


やがて人類は、言葉を得ました。

これにより、体験の共有が可能になった。

そのため、他の人から恐怖の体験を聞くだけで、脳に強く記憶されるようになりました。

他者の体験を伝え聞いただけでも、扁桃体は活動するのです。



<平等>


意外なことに、かつて人類は、うつ病を防ぐ仕組みを持っていたのだという。

先述のハッザの人たちに、うつ病の調査が実施されました。

その結果、ハッザの人たちの平均点は、2.2だった。

このテストでは、11点以上が軽いうつ症状で、31点以上で重いうつ状態となります。

ハッザの人たちに、うつ病の人はいなかった。

アメリカの健康な人で、平均点は7.7。

日本の健康な人で、8.7。

ハッザの人たちの点数が、極めて低いことが分かります。


なぜ、彼らは、うつ病とは無縁なのか?

研究者たちは、その暮らしに注目しました。

ハッザの人たちは集めた食料を、ほぼ100%、みなで分け合うのだという。

獲物を仕留めた場合、肉を切り分け、みんなに配って、食べます。

彼らの生活は、極めて平等なのです。

なので、(孤立などの)悩みがなく、うつ症状も出ない。

分け隔てない生活が、そこにはありました。


狩猟時代、獲物を仕留めるには、集団の結束が必要でした。

ひとりでは獲れないので、みんなでやらねばならない。

そしてそのためには、獲物を分け合うなど、平等であることが欠かせませんでした。


では、「平等であること」が、どのように うつ病の発症を防ぐのでしょう?


大阪は吹田の、脳情報通信融合研究センター。

春野雅彦 博士は、平等と扁桃体の関係に注目し、実験を行ってきました。


例えば、お金を分け合う実験。

自分が損をする場合、扁桃体の活動は大きくなります。

また、自分だけが得をする場合でも、扁桃体の活動は大きかった。

そして、互いに公平な場合だけ、ほとんど反応しなかったのです。

このことから、平等はうつ病の原因となる扁桃体を活動させないことが分かる。


ハッザの生活。

みなが結束しているので、天敵から身を守ることができる。

助け合って生活しているので、孤独にもならない。

また、そんな生活では、嫌な記憶も癒される。



世界最古の文明と言われる、メソポタミア文明。

その出土品には、貧富の差が描かれています。

当時、狩猟を中心とした生活から、農業を中心とした生活へと、社会は大転換しました。

生産は飛躍的に上昇し、余った穀物を蓄えられるようにもなった。

これにより、獲物を平等に分ける社会から、穀物を階級に応じて分ける社会へと変換。

平等が崩れ去ったことで、ストレスが増加しました。

この仕組みが世界中に広がり、現代まで続いているのです。


現代では、職業の違いが、うつ病の発症に影響するのだという。

医師や弁護士など、自らの判断で仕事をする「専門職」では、うつ病が少ない。

これは、大工や美容師などの「技能職」も同じ。

しかし、上司の命令で仕事を行う、営業や秘書などの「営業・事務職」、工場や土木作業員などの「非技能職」では、うつ病が2倍以上も多く見られた。

社会的な立場によって、人々が受けるストレスの強さは異なるようです。

立場の低い人は、高い人に比べて、常に強いストレスにさらされているというわけ。

(日本の場合、その中間でも、強いストレスにさらされていそうですが)



我々人類は、文明により、多大なる恩恵を受けてきました。

けれど、同時に、文明が平等を崩し、うつ病になる原因も生み出すことになったようです。

文明のすべてを否定することはできませんが、人間を助けてきた面と、苦しめる面、両方があるようですね。



<最新のうつ病治療法>


ドイツ、ボン大学病院。

ある最新の治療が行われました。


頭に穴を開け、電極を埋め込む。

「脳深部刺激(DBS)」という治療法。

手術中も意識があり、言葉のやり取りがあります。

「気分はどうですか?」

「罪悪感はどうですか?」

手術されている方は、それに答えます。


この治療法は、ペースメーカーからの電流で、扁桃体などを刺激するもの。

働きを正常化し、症状を抑えようとする試みです。



うつ病とは無縁な人々を参考にした治療も出てきました。

「生活改善療法(TLC)」

参考にしたのは、狩猟採集の人々の暮らし。

重視するのは、社会的な結びつきです。

スタッフとの信頼関係を築き、地域活動に参加するなどする。

定期的な運動や、生活習慣の改善にも取り組みます。


運動には、委縮した脳の神経細胞を再生させる働きがある。

また、昼間は太陽の光を浴び、夜はしっかり眠るという、規則正しい生活には、ストレスホルモンの分泌を正常に戻す効果があります。


このような、薬以外の治療法が注目され、実施されてきているようです。

(投薬治療を否定するものではありませんが)





治す! うつ病、最新治療 ──薬づけからの脱却


こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳





以上が、NHKで放送されていた、うつ病のメカニズム。

主に、脳に関するアプローチです。


後日、メインのホームページでは、これを参考にして、別のアプローチをしてみたいと思っています。


 → 「うつ病の原因と対処」



【過去の日記】

「シリーズ うつ病」




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Author:南方 城太郎
生息地:関西
分類:昭和人間
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黒電話、赤電話が主流で、冷房は扇風機、暖房は石油ストーブと炬燵という時代


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