ユング心理学の視点から見た日記。スーパー戦隊シリーズ キョウリュウジャー、トッキュウジャー、東のエデンのレビューと感想。エニアグラム、子どもが育つ魔法の言葉、話が通じない人の心理、自分に気づく心理学。ドラマやアニメから学ぶ人生観。
 
ミヒャエル・エンデ作

モモ
時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語


そのレビューと感想



第18回「届かなかった声」


(第9章「ひらかれなかったよい集会と、ひらかれたわるい集会」より、その前編)


デモ行進でうったえた、集会の日が来ました。

その時刻(じこく)は、とうに過ぎた。

でも、集まったのは、子どもたちだけでした。

一番来てほしかった町のおとなたちは、誰も来なかったのです。

実のところ、彼らは子どもたちのデモ行進にさえ、ほとんど気づいてなかった。


すべては、むだだった。

約束の時間になり、それが過ぎと、時間がたつにつれ、その現実はようしゃなく、みんなをおそいました。


円形劇場の廃墟(はいきょ)には、子どもたちがすわっている。

でも、もう、だれも、なにも、話しません。

みんなだまりこんで、下を向いてしまった。


日はもう暮れようとしています。

あたりは暗くなりはじめ、空気もひんやりしてきた。

誰ともなく立ちあがり、何人かが帰っていきました。

そのあとに続き、また何人かが帰る。

みんな口をつぐんで、夕日の中に消えてゆく。


パオロは、モモにひと声かけてから、帰っていった。

フランコは、「どうしようもないな。おとななんて、あてにすることはないんだ」と言いました。

これでよくわかった、今までだって おとなを信じちゃいなかったけど、こんごはぜったいあいてにしてやるもんか。

そう言って、帰った。


あたりはとうとう暗くなって、残った子どもたちも帰っていった。

残っているのは、モモ、ベッポ、ジジの三人だけ。


しばらくすると、ベッポも立ちあがりました。

特別勤務(とくべつきんむ)があるのだという。

日曜の夜だけど、こんどからそういう割り当てになった。


ざんねんだわと、モモは言いました。

「きょうはずっとここにいてもらいたかったのに」


それは、ベッポも同じでした。

でも、行かねばならない。

ベッポはキーキーなる自転車にのって、行ってしまいました。


ジジも、帰らないといけないという。

今日は、夜警(やけい)の仕事があるのです。


モモは大きな目で、じっと彼を見つめた。


「しょげるなよ」と、ジジは言いました。

計画は思いどおりにはならなかったけど、それでもおもしろかったと話す。


でも、モモはだまったままです。


ジジはモモの髪をなでながら、言いました。

そう深刻(しんこく)に考えることはない。

あしたになれば、またちがって見えるさ。

なにか新しいことを考え出せばいいんだ。

なにか新しいお話を。


でも、今起こっていることは、お話じゃない。


ジジもまた、行ってしまった。

円形劇場には、モモだけが残された。

空には星も、見えません。

そして、やけに、さむい。

そのひやっとした風は、まるで灰色の風のようだった…





モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)






<感想>


意気込んではじめたデモ行進でしたが、その訴えは、大人たちの耳には届いていませんでした。

結果としては、子どもたちの盛り上がりだけで、終わってしまったのです。


本当のことでも、正しいことでも、人や町を想ったことでも、ともかくそれは、聞き入れられなかった。

無かったも同じにされてしまいました。


忙しさは、視野を狭める。

忙しさは、耳を閉じさせる。

忙しさは、関心を失せさせる。

意識は何かに集中させられ、他のことは見えなくなります。


声も、顔も、何やかんやが。


忙しい大人たちには、子どもの声も、顔も、届かなかった。

それは一方的に責められることではないけれど、見えないところで、何らかのツケが、たまるのかもしれません…





子どもが育つ魔法の言葉 (PHP文庫)




10代の子どもが育つ魔法の言葉 (PHP文庫)






あまり忙しすぎると、何に忙しいのかさえ、忘れ去られそうだ…





 <<「(17) デモ行進」
    「(19) 闇の裁判と、暇と子ども」に続く…




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Author:南方 城太郎
生息地:関西
分類:昭和人間
生まれ:
黒電話、赤電話が主流で、冷房は扇風機、暖房は石油ストーブと炬燵という時代


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