ユング心理学の視点から見た日記。スーパー戦隊シリーズ キョウリュウジャー、トッキュウジャー、東のエデンのレビューと感想。エニアグラム、子どもが育つ魔法の言葉、話が通じない人の心理、自分に気づく心理学。ドラマやアニメから学ぶ人生観。
 
ミヒャエル・エンデ作

モモ
時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語


そのレビューと感想



第15回「英雄の夢とブレーキ」


(第8章「ふくれあがった夢と、すこしのためらい」より、その前編)


モモと灰色の紳士がであった日の夕方、ジジとベッポがやって来ました。

ふたりはすぐに、モモの顔色がわるいのにきづき、どうしたのかと聞いた。

モモはつっかえひっかえながら、あったことを、ひとことももらさずに、ぜんぶ話しました。


ベッポじいさんは、しんけんな顔で、くいいるように話を聞きいた。

また、話が終わっても、ひとことも口をききませんでした。

ジジはその逆、だんだんと興奮(こうふん)してきて、目がキラキラと光りだした。


気持ちを高ぶらせながら、ジジは言いました。

いよいよおれたちの立ちあがるときが来たぞ!

きみは、いままでだれも知らなかったことを発見したんだ!

3人で町ぜんたいを救えるんだと、両手をひろげ、力説する。

ジジは英雄にでもなったような気分でした。


でも、どうやってやるのか?

灰色の男たちを、どうやってやっつけるのか?


それはまだ、はっきりとわからないと、ジジは言った。

けれど、彼らのことを知った以上、たたかわなくっちゃいけない。


モモは、ちょっと、こわかった。

灰色の男たちは、ふつうの人間とは思えない。

それにあのさむさときたら、とてもひどい。

もし、おおぜいいるのだとしたら危険だと、モモは言う。


しかし、ジジは、ことはきわめてかんたんだと言ってのけます。

灰色の男たちは、ひとに知られずにいられる間しか、仕事をつづけられない。

となれば、やつらの正体をあばきさえすれば、いい。

やつらの正体を知った人は、もう、やつらのことをわすれない。

もう、見れば、やつらだと分かります。

そうなれば、やつらは手を出せなくなって、おれたちも安全になる。

ジジは、そう言うのです。


でも、モモは心配でした。

もし、そうだとしても、あのひとたちを見つけるなんて、できるだろうか?

すがたをかくしてしまうのでは、ないだろうか?


そうなればやつらをおびき出せばいいのだと、ジジは言います。

ネズミをつかまえるのにベーコンをつかうように、やつらには時間をエサにする。

なにせ、時間なら、たんとある。

たとえば、モモがエサになって、かくれていたジジとベッポがとび出していって、やっつけるとか。


でも、モモのことは、もう知られています。

モモのわなには、ひっかかりそうもありません。


そこでジジは、べつの方法を考えました。

時間貯蓄銀行というからには、なにか建物があるにちがいない。

となれば、それを見つければいい。

きっと、かわった建物だ。

灰色で、ばかでかい、窓のない、金庫みたいな建物にちがいない。

それが見つかったら、ピストルを手にのりこんでいって、こう言う。

「ぬすんだ時間をぜんぶ、すぐに返せ!」って。


いい調子で話しているジジですが、ピストルなんて持っているはずがありません。

モモがそう言うと、ジジは胸をはって返しました。

なら、ピストルなしでやる。

そのほうが、やつらも、きもをつぶすだろう。


モモは、人数が多いほうがいいと言いました。

そのほうが、はやく見つかる。


これには、ジジもさんせい。

古い友だちたちを、みんな動員すればいい。

さいきん来るようになった子どもたちに、てつだってもらうのもいい。

それをたくさんの人に伝えて、その人たちからまた、べつの人に伝えてもらう。


というわけで、あしたの午後三時にみんなで集まって、相談することになりました。

三人は立ち上がって、モモは一方に、ジジとベッポはべつの方向に歩いていった。



しばらくして、ベッポが口をひらきました。

心配なのだという。

モモの言うことは、本当だと思う。

そして、モモの言うことが本当だとすると、ようく考えないといけない。

それが悪いやつらの秘密組織(ひみつそしき)だとすると、そういうものを相手に、よく考えもせずに手を出すのは、よくない。

かるがるしく挑発(ちょうはつ)しようものなら、モモをあぶない目にあわせることになるかもしれない。

わしたちはいいにしても、子どもたちまで引っぱりこむとなると、みんなを危険におとすことになりはしないだろうか。

ベッポは言いました。

「なにをするかは、ようく考える必要がある」


が、ジジは心配性(しんぱいしょう)だな! と笑いました。

なかまは多いほどいいと、言うのです。


ベッポには、ジジがモモの話を本当だとは思ってないようにかんじた。

でも、ジジは、そうではないと言う。

世の中はでっかいひとつのお話で、みんなはそのお話の登場人物(とうじょうじんぶつ)だというのです。

だから、モモの話は本当だと信じていると、ジジは言いました。


ベッポは、なんとこたえていいのか、分からなかった。

それに、ジジが信じていたとしても、心配なのはかわりない。


それからふたりはわかれて、友だちや子どもたちに、あしたの集まりのことを知らせに行きました。

ジジは心もかるく、そしてベッポは、おもい心をいだいて。


その夜、ジジは、夢を見ました。

ジジは夢の中で町の救い主(すくいぬし)となって、名声(めいせい)をはくしている。

三人ともきれいな服を着て、音楽がなりひびくなか、頭に月桂冠(げっけいかん)をさずけてもらう。

町じゅうの人々が、彼らをたたえてくれた。


おなじころ、ベッポは眠れずにいました。

考えれば考えるほど、危険なことをやろうとしているように思える。

もちろん、ジジとモモだけを危険な目にあわせるわけにはいかない。

どういうことになろうと、じぶんもいっしょにやるつもりです。

けれど、すくなくとも、ふたりにブレーキをかける努力だけはしようと、ジジは思いました…





モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)






<感想>


性格の違う、ジジとベッポ。

同じ話を聞いても、反応は違います。

モモの話を聞いたジジは、それを英雄への道だと受け取った。

その先には、明るい未来が待っている。

逆にベッポは、心配しました。

もしかすると…そう考えると、夜も眠れません。


未来に生きる、ジジ。

同じ時間を生きながら、人より先、ちょっと未来に想いを馳せます。

特に、明るい未来を想像する。


ベッポは、その瞬間を受け取る。

今を受けとり、ゆっくり吟味します。

なので、吟味するうちに今は過去になって、人より遅れてしまう。

そのせいで、人から奇妙に思われることさえあった。


未来を生きるジジ、今が過去になってしまうベッポ。

どちらがいいというわけでも、どちらが悪いというわけでも、ありません。

前に進むという意味では、ジジの方が優れている。

でも、ようく確認するという意味では、ベッポの方が優れています。

その性質が、違うだけ。

その時々、置かれた状況で、意味が違ってきます。

それぞれが得意を持ち、同時に不得意を持つ。



さて、夢見るジジに、心配するベッポ。

そして、準備される、集会。

この先、どうなるでしょう…





びくびくビリー (児童図書館・絵本の部屋)



少し「心配性」のほうが、うまくいく!





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Author:南方 城太郎
生息地:関西
分類:昭和人間
生まれ:
黒電話、赤電話が主流で、冷房は扇風機、暖房は石油ストーブと炬燵という時代


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